近年、エネルギー消融技術(マイクロ波または高周波が主に用いられる)が子宮筋腫および腺筋症の治療に応用されるようになってきた。細針を画像ガイド下で病変部に直接挿入し、エネルギーで加熱することによって腫瘍細胞を壊死させ、徐々に縮小させる。さらに「自然孔手術(Natural Orifice Surgery)」──すなわち腟から進入し、腹部に切開を残さない方法を組み合わせることで、自然孔消融手術が成立する。この方法は「子宮を温存すること」と「無痕」を兼ね備え、創部疼痛や感染リスクを大幅に低減することができる。
臨床特色
• マイクロ波消融(Microwave Ablation, MWA):加熱速度が速く、消融範囲 が大きく、平均時間は相対的に短く、中〜大型病変に有効である。
• 高周波消融(Radiofrequency Ablation, RFA):加熱過程は比較的遅いが制御が精密であり、小病変やより深部に位置する病変に特に適しており、平均時間はやや長い。
私の臨床経験において、この種の消融手術の優位性は創部がより小さく、回復がより速いことであり、特に自然孔あるいは単孔腹腔鏡方式で施行する際には、ほとんど「外観上無痕」を達成できる。
適応症
• 中小型子宮筋腫(特に過多月経や貧血を合併する症例)
• 子宮腺筋症による月経困難症や過多月経
• 子宮摘出を避け、なおかつ生殖の必要がある女性
• 鎮痛薬、ホルモン剤、避妊器具などの薬物治療が効果不十分な症例
制限および注意すべき点
完全切除と比較すると、消融にはいくつかの制限がある。
1. 症状改善速度が遅い:腫瘍は縮小に時間を要し、月経量や圧迫症状の改善には数週から数か月かかる場合がある。
2. 大きな病変では効果が限定的:7cmを超える筋腫では縮小幅や改善効果は切除に及ばない。
3. ホルモン治療依存:一部の病院では効果を強めるためホルモンを併用するが、私は乳癌や血栓などのリスクを低減するため長期使用は好まない。
4. 数の制限:消融は通常1回に単一病変を対象とするため、多発性筋腫では処理範囲が限られ、HIFUと比較すると不利である。
5. 解剖学的条件:子宮体積が大きすぎる場合、分布が広範囲に及ぶ場合、あるいは高度癒着を伴う場合は本術式に適さない。
臨床優勢
1. 真の「無痕」:完全に腟から進入するため、腹部切開を必要としない。
2. 回復が速い:患者はしばしば翌日に離床でき、入院期間も短縮される。
3. 子宮温存:生殖や心理的なニーズを兼ね備えることができる。
4. 症状改善:研究によれば、自然孔消融後、7割以上の患者で月経量および疼痛が顕著に改善している。