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欧州生殖医学会の提案に基づき、重複性着床失敗(RIF)の診断を受けた患者に対する検査や治療について、以下のように分類されています。
🟢 緑信号(実施推奨) 緑灯は、科学的根拠があり、実施が推奨される検査や治療です。 ★ 生活習慣の改善 喫煙、飲酒、運動、カロリー摂取、BMIなどが理想的な範囲内にあるかを確認することが重要です。 ★子宮内膜の厚さ 子宮内膜が7mm以上で、3本線の構造が確認できるか。子宮鏡や超音波を用いて評価します。 ★抗リン脂質抗体 流産を引き起こしやすい体質の一因となる抗リン脂質抗体の評価を行い、免疫療法での対応が推奨されます。
🟡 黄灯(考慮すべき) 黄灯は、必要に応じて実施を考慮すべき検査や治療です。 ★染色体検査 夫婦両方の染色体検査を行うことが推奨されます。染色体異常が過去に診断された場合、今回の胚胎にも検査が必要です。 ★子宮鏡・3D超音波 子宮の形態や子宮内膜の厚さを評価するために、子宮鏡や3D超音波を使用します。 ★子宮内膜の機能検査 ERA(子宮内膜の受け入れ態勢を調べる検査)や遺伝子型のチェックなど、子宮内膜の機能を評価する検査が含まれます。 ★慢性子宮内膜炎 病理検査や細菌培養によって慢性子宮内膜炎を確認し、抗生物質による2週間の治療を行います。 ★甲状腺機能検査 甲状腺の機能異常が受胎に影響を与えることがあるため、甲状腺ホルモンのチェックが推奨されます。また、糖尿病、プロラクチン、ホルモンや新陳代謝に関わる検査も必要です。 ★黄体ホルモン濃度の確認 特に胚胎着床前後で、黄体ホルモン(プロゲステロン)の血中濃度が10ng/mlを超えていることが望まれます。
🔴 赤灯(特殊な状況でのみ考慮) 赤灯は、現在のところ根拠が非常に薄いため、特殊な状況下でのみ実施が考慮される検査です ★ビタミンD検査 ★陰道内の菌種検査 ★プロバイオティクスの使用 ★血中自然免疫細胞(NK細胞)の検査 ★子宮内の自然免疫細胞(NK細胞)の検査 ★子宮内のT細胞の検査 ★血液中の細胞分泌因子の検査 ★HLAタイピング(血液型関連の遺伝的検査) ★胚の自由DNA検査(胚盤胞や細胞培養液内) ★精子の染色体断片や破片の検査
これらの検査は、特定の条件に応じて実施を検討するものであり、慎重に考慮する必要があります。
以上が、RIF患者に対する検査・治療について、欧州生殖医学会からの推奨内容です。