多くの患者さんが超音波検査のときに
「あなた、子宮が後傾していますね」と言われると、思わず緊張して「それって問題なんですか?」と聞いてしまうことがあります。
でも、実はそんなに心配しなくて大丈夫です。
子宮前傾と子宮後傾はどちらも正常
子宮が前に傾いているか、後ろに傾いているかは、あくまで正常な解剖学的な違いです。およそ16〜18%の女性は子宮後傾であり、多くの人はまったく症状がなく、妊娠や出産にも影響しません。
科学的な研究によると子宮後傾の女性は自然妊娠率がわずかに低い傾向があるとされ、そのため一部の方は体外受精(IVF)を利用することもあります。
しかし、妊娠後の経過は子宮前傾の人とほとんど変わらず、流産・早産・胎位異常のリスクが増えるわけではありません。
ただし、次のような状態を伴う場合は不快症状が出ることもあります
・深部子宮内膜症
・子宮脱・膣脱、または骨盤底の弛緩
・強い月経痛、性交痛、排尿困難
治療の基本
症状がない場合 → 治療は不要
症状がある場合 → 原因に応じて対処
子宮の角度の違いは「異常」でも「悪いこと」でもありません。明らかな症状がなければ、矯正する必要はありません。
子宮の位置は、それぞれの身体にとって自然で個性的なものです。